高等教育

福島大学 「解のない問い」に挑むデータサイエンス教育プログラム(リテラシーレベル)

1.データサイエンス教育

本学の重要な教育目的は、現代日本が直面しているような劇的な社会変化に主体的に対応し、新たな社会の形成に貢献することができるような「解のない問題にチャレンジできる人材」を育成することです。

こうした観点から本学では問題基盤型学習の考え方に即したデータサイエンス教育プログラムの開発と提供を行います。本プログラムでは、学生がデータ分析に関する確かな知識(理論や方法、実践的なノウハウ)を習得し、その知識を応用して「解のない問い」に挑んでいく態度を身につけられるようにします。

プログラムの一環として、2020年度から全学学生を対象とした「データサイエンス入門※1」を、2021年度から「データ分析入門」を開講してきました。そして2022年度からは「社会とデータの基礎※2」を開講し、全3科目が有機的に連結したデータサイエンス教育プログラムを学生に提供することにしました。

1講義名は2022年度より「データサイエンス入門」から「データサイエンス実践演習」に変更されました。また、2023年度より必修科目から選択科目に変更されました。

2講義名は2023年度より「社会とデータの基礎」から「社会とデータ科学の基礎」に変更されました。また、2023年度より選択科目から必修科目に変更されました。

 

1)「社会とデータ科学の基礎」

データサイエンスの世界には“Garbage In, Garbage Out”(ゴミを入れると、ゴミが出てくる)という言葉がある。この言葉は「信頼できないデータをそうと気付かずに分析し始めてしまうと、たとえどんなに最先端の統計ソフトや優れたAIを使ったとしても、結局は無意味な分析結果しか得られない」ということを意味している。また、この警句はデータサイエンスの第一歩が、信頼できるデータの構築だということを教えてくれる。このような観点から本講義では、調査の方法論やデータサイエンス・AIの応用事例について学ぶことで、そもそもどのような目的に対して、どのような方法によってデータを構築すべきか考えていく。これにより自分自身の手でデータを構築したり、データの特性に応じた適切な分析を行ったりするために必要なデータサイエンスの考え方やスキルを学ぶことが本講義の狙いである。

2)「データ分析入門」

「データ分析入門」では科学的に現象を分析するための考え方を授業で取り上げたうえで、基礎的なデータ分析の練習を行うことで、可能な限り丁寧にデータ分析の基本を学べるようにすることを意図しています。

本講義では、データ分析の基礎を理論と実践の双方をバランス良く組み合わせながら学んでいく。講義の前半(第1~6回)では、教員による講義中心で理論を学びます。ただし、学生には、自分自身が調査を行う立場で授業に参画するように求めるし、そのような宿題を適宜課します。(自分で問題設定を行う練習、簡単なアンケートを作成する練習等)。講義の後半(第7~15回)では、PCを使用した個別演習によってデータ分析を実践します。具体的には、Excel・SPSSなどの表計算ソフト・統計ソフトを用いてデータの集計や加工の練習を行います。また、質的・量的データの扱い方、データの代表値や2つの変数の関係の分析といった統計分析第一歩となる基本事項についても練習します。

3)「データサイエンス実践演習」

「データサイエンス実践演習」では、データサイエンティストに求められる基礎スキルとビジネス現場での活用事例を学び、さらにプロジェクト型演習を通じてデータ分析を活用した課題解決・提言の一連の流れを経験し、理解を深めることを目的としています。

プロジェクト型演習では、自治体(福島市を想定)にご協力を頂き、実際のデータ、課題をベースにしたプロジェクトの一連の流れを経験します。データに基づく本質的課題の深掘りを行い、自治体職員の方等へのヒアリングを通じた現場感・実現性のある施策提言に取り込みます。中間発表、最終発表では、プレゼンテーションへのフィードバックも予定しており、実際のコンサルタントが取り組むような思考プロセス、データ分析・施策立案の流れを経験していただく事を目指しています。

2.数理・データサイエンス・AI教育プログラム

本プログラムは、文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)に認定されています。(認定の有効期限:令和9年3月31日まで)

 ■文部科学省 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)

 ■数理・データサイエンス・AIリテラシープログラム 申請書

1)教育プログラム名称

「解のない問い」に挑むデータサイエンス教育プログラム

2)プログラムの学修成果(学生が身に付けられる能力)

本プログラムの中核である「データサイエンス実践演習」(選択)は、データサイエンス・AIについて企業・自治体の活用事例や演習(福島市提供のローデータの分析、政策提言)を通してわかりやすく学ぶことに主眼をおいています。さらに「データ分析入門」(選択)では、データサイエンス・AIの基礎に関する考え方を演習を通して丁寧に学ぶことができます。こうしたプログラムの構成によって、文理の境界や数学に関する得意不得意を乗り越えて、多様な学生がデータサイエンス・AIに関する概論、最新の事例、表計算ソフト等を用いたデータ分析・データ活用のノウハウについて学ぶことができると期待されます。

取組み概要

 

3)プログラムを構成する科目

「社会とデータ科学の基礎」(必修) 「社会とデータ科学の基礎」(必修)シラバス

「データ分析入門」(選択) 「データ分析入門」(選択)シラバス

「データサイエンス実践演習」(選択)■「データサイエンス実践演習」(選択)シラバス

 

4)修了要件

本プログラムのカリキュラムとして修得される科目のうち2単位以上履修することです。ただし、「社会とデータ科学の基礎」は必修とします。なお、プログラムへの参加・修了認定に際し、申請等の手続きは不要です。単位修得をもって修了認定し、認定証を発行します。

5)モデルカリキュラムとの対応

6)実施体制

①プログラムを改善・進化させるための体制

      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会長   准教授    高森 智嗣(部会長)
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     福冨 靖之
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    前川 直哉
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  特任准教授  鈴木 あい
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  特任講師   加藤 穂高
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     中畑 淳
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     佐々木 康文
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    石川 大輔
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     中村 勝一
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     高橋 秀和
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    松本 正晴

 

②プログラムの自己点検・評価を行う体制

      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会長   准教授    高森 智嗣(部会長)
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     福冨 靖之
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    前川 直哉
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  特任准教授  鈴木 あい
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  特任講師   加藤 穂高
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     中畑 淳
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     佐々木 康文
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    石川 大輔
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     中村 勝一
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  教授     高橋 秀和
      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会委員  准教授    松本 正晴

 

③プログラムの運営責任者

      •  全学教務協議会データサイエンス教育部会長   准教授    高森 智嗣(部会長)
7)評価と改善

高等教育企画室が本教育プログラムの履修状況や学修得状況を分析し、プログラム改善に向けた取り込みを行ってきました。これを土台として、令和4年度以降は、基盤教育委員会データサイエンス教育部会を立ち上げ、高等教育企画室と連携して、プログラムの開発や運営、提供の責務を担う体制を構築し、プログラム推進の観点から履修状況や学修状況の評価・分析を行います。